顧みれば守るものなど何もなし 捨てよ全てを己が身すらも
滴塵037
本文
顧みれば守るものなど何もなし 捨てよ全てを己が身すらも
形式 #短歌
カテゴリ #7.覚悟・布施・捨身
ラベル #修行 #布施 #無常 #精神
キーワード #守る #捨てる #自己 #全て #覚悟
要点
執着を捨て、自己を含めた全てを手放す覚悟の重要性。
現代語訳
振り返ってよく考えてみれば、守るべきものなど何もない。全てを捨てよ、己の身さえも。
注釈
捨てよ:物理的・精神的執着を捨てる修行行為。
顧みれば:過去や現状を振り返る。自分の人生や周囲を見渡してみると。
守るものなど何もなし:執着し、守ろうと必死になっているものは、実は守る価値のある実体を持たない。
己が身すらも:自分の肉体や生命さえも。
解説
物や自己への執着を超える覚悟の詩。仏教の捨身や布施の精神を、簡潔ながら力強く表現。自己を含む全てを手放すことが、悟りへの道であることを示す。
深掘り_嵯峨
徹底的な「無執着」の境地を歌った、非常に厳しい悟りの歌です。
私たちが「自分のもの」として守ろうとするもの(財産、地位、人間関係、そして肉体)は、無常ゆえに実体がない(空である)ため、最終的には何も守れないという真理を悟っています。
「捨てよ全てを己が身すらも」という言葉は、究極の自己否定と全的な解放を意味します。この極限の捨身の境地に立って初めて、真の仏法に帰依できるという、厳粛な決意が示されています。